はだかの女神
2026/10/29

金星の女神、イナンナ。
古代シュメールで、
宵と明けの空に輝く金星と結びつけられ、
崇拝されていた女神です。
シュメールの神話『イナンナの冥界下り』で、
イナンナは神としての権威を示す装いを身につけ、
姉エレシュキガルが治める冥界へ降りていきます。
頭には冠、胸には首飾り、
手には測り竿と測り縄、
身には女王の衣。
金星は、9月10日、蠍座に入りました。
蠍座は、死と再生、深層をつかさどる星座。
金星にとっては、本来の力を発揮しにくい場所です。
イナンナが冥界へ降りていったように、
空の金星もまた、この日から、
冥界下りをはじめていたと読むことができます。
冥界には七つの門があり、
門をくぐるたびに、
門番が装いをひとつずつ取り去ります。
「これは何か」と問うイナンナに、門番は答えます。
「口を挟むな、イナンナ。これは冥界のしきたりだ」
七つ目の門を抜け、冥界入りしたとき、
イナンナは何も纏っていませんでした。
自分で脱いだわけではありません。
門をくぐるたびに、剥がれていったのです。
10月3日、金星は蠍座で逆行をはじめました。
金星は、何に価値を置くかをつかさどる星。
この逆行は、これまでの価値観が問い直される。
門をくぐるたびに装いを剥がされたイナンナのように、
わたしたちの内側でも、
これまでの自分の価値基準という物差しが、
一枚ずつ剥がされていきます。
ちゃんとしていれば、認められる。
聞き分けのいい子でいれば、居場所がある。
長く握ってきたそんな物差しが、
自分から手放そうとしなくても、
星の配置により、効かなくなっていく。
この秋、理由のわからない重さの中にいたなら、
それは、あなたが冥界の門の前に立っていた時間です。
その重さから目をそらさずにいた人だけが、
門をくぐっていきました。
何も纏わない姿で、イナンナは冥界の最も奥に立ちます。
そして、姉が座っていた玉座に、自ら腰をおろしました。
その瞬間、イナンナは命を失います。
10月24日、金星は太陽のふところに入り、
その光に溶けて、空から見えなくなりました。
冥界で命を失ったイナンナのように、
西の空に輝いていた宵の明星の時間は、
ここで終わります。
そして、10月26日の牡牛座満月では、
冥界の王の名を持つ冥王星が、
太陽と月の双方に、90度で関わりました。
冥界の女王の前に立ったイナンナのように、
深いところにあるものと、向き合わされる暗示です。
すべてを剥がされたあとにも、
なお、残っていたものとは何か。
三日三晩ののち、
イナンナはよみがえり、地上へ戻ります。
ここから金星は、11月1日〜2日ごろ、
明けの明星として、東の空に戻ってきます。
宵の明星として冥界へ降り、
明けの明星としてよみがえる。
そして11月14日、金星は天秤座で逆行を終え、
ふたたび前へ進みはじめます。
天秤座は、関係性をつかさどる星座です。
イナンナが死からよみがえったように、
これまでの価値基準の物差しも、
関係性も、一度死に、新しく編み直されます。
前回の天秤座新月のメッセージ
「わたしの瞳が恋してる」に、こう書きました。
相手が変わったわけじゃない。
変わったのは、わたしのほう。
世界の見え方がグルンと変わった。
物差しが剥がれ、関係性が編み直される。
もう一度、恋をするための門でもあります。
12月4日、金星はふたたび蠍座へ。
新しいあり方と共に。
金星が蠍座から天秤座へ、
この同じ道を逆行するのは、8年に一度。
前回は2018年、次は2034年です。
この門をくぐるには、
剥がされていくものに執着しないこと。
抗わないこと。判断しないこと。
イナンナが、そうしたように。
しかし、剥がされたあとにも、
まだ握っているものがあります。
さあ、明けの明星が昇る前に。
装いの奥のわたしで、
愛する人の前に、はだかで立つ。
その勇気と共に、
“よそおい”の本質へ、降りていきましょう。
ここからは、遠隔参加の方のエリアです。
(初出|2026年10月29日)
愛の女神ははだかで生まれた。
牡牛座満月の遠隔ワーク
「よそおい」に寄せて。
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