七夕の空に、愛する神々の物語
2025/07/12
2025/07/15

🌿 ふたたび開く、ことばの銀河
昨年の9月から、この6月の夏至まで。
めずらしく、どこへも旅をせずに
ひっそりと巣ごもりをしていました。
気分転換のための旅。
感情を癒すための移動。
気持ちの切り替えを目的とした
風景の選びなおしなど。
──旅を、そんなふうに使ったことは、
ほとんどありません。
だって楽しもうとしても、
心がついてこれないから。
同じように、
感情のブロックを外すために、
気持ちのバランスを取るために、
何かに取り組むこともあまりありません。
なぜなら、そうした動機では
その時のわたし自身を
ただ増幅するだけだと、感じているから。
ほんとうに、自分に向き合う時。
わたしは動かず、
ただ、内に沈みこみます。
もちろん、
普段の生活は営んでいますが、
積極的に、散歩さえもしません。
克服しようとも、解消しようともせず──
ただ、わたしのそばにいてあげるだけ。
宇宙が、拡大と収縮をくりかえすように。
わたしたちにも、収縮の時間が必要です。
動かずに、じっとする力。
それを持てること自体が、
ひとつの体力であり、ギフトでもある。
周りから見たら、
相当にじれったいとしても。笑
けれど、そんなふうに過ごしていた、
巣ごもり、穴ごもりの数ヶ月が過ぎ。
夏至には、
役行者の気配に誘われるように
吉野山・金峯山寺へ、静かなる旅をひとつ。
そしてこの一週間ほど、
すこしだけ、海をこえてきました。
──ただいま。玄花です。
今日は七夕。
さらに、先ほど、
天王星が双子座へ入りました。
🌿 銀河の記憶とかえり道
天王星の双子座入りについては、
また改めて綴るとして──。
標高の高い、天空に近い場所では、
今夜きっと、
天の川銀河が美しく見えるのでしょうね。
(そんな天空に近い場所で
──10月、リトリート合宿をひらきます)

ふと思い出したのは、
数年前のハワイ島。
Wizard Classのリトリート。
あのとき、みんなで見上げた満天の星空。
静寂の中で、天の川銀河がただ流れていました。
あの旅では、
わたしの人生において、
とても個人的で、けれどたしかに尊い瞬間を、
参加メンバーと分かち合うことになりました。
多くを語らなくても、
あの場にいたすべての人が、
見守り、それぞれの心で
受け取ってくれていたことを思い出します。
今、書きながらも、心が震えています。
今度、ハワイへ行くならオアフ島かな。
きっと、プライベートな旅になると思います。
──── ✵ ────
──さて、七夕。
今朝、海の向こうからの帰国の道すがら、
ずっと頭の中に流れていたのは、
シヴァとパールヴァティの物語でした。
わたしはシヴァ推しです。
……いえ、ヒンドゥーの神々を箱推し、
と言ってもいいかもしれません。笑
ここからは、わたしの記憶を辿りながら、
一気に綴っていきますね。
本や資料ではなく、
インドで実際に聞いた話を元にしています。
🌿 神々が愛しあうとき
──神話が語る、精神と現実の結び
これまでに、
4回ほどインドを訪れました。
これでインドの章はひと段落のような...
深いご縁があったのは、ドゥルガー。
そしてアンナプルナ、さらにサラスワティ──
でも、すべての女神は、
最終的にパールヴァティへと帰結します。
(もっと言えば、パールヴァティ自身も“化身”です)
パールヴァティは山の娘。
父はヒマラヤのヒマバット。
夫は、言わずと知れた──破壊と再生の神、シヴァ。
シヴァは一途な神さまで、
たった一柱を妻にしました。
(ちなみにクリシュナは、愛人16,000人)
ヒンドゥーの神々の世界では、
精神世界を司るのが男性で、
現実世界を司るのが女性とされます。
それがわたしの中に、
ストンと入ってきました。
「ですよね」と、
心の深いところで合点がいったの。
人間界では逆に、
精神世界は女性、
現実を動かすのは男性──
なんて言われますが、
それにはずっと違和感がありました。
──それはさておき。
シヴァは、
隙あらば山にこもって修行に入ります。
ゆえに、いつも寂しいパールヴァティ。
ある日、パールヴァティは、
シヴァの背後から「だーれだ?」と、
いたずらっぽくシヴァの両目を塞ぎます。
すると……
世界を統べるシヴァの両目が塞がれたことで、
世界が闇に包まれてしまいます。
とんでもないことをしてしまった!
パールヴァティは恐れおののきます。
それを感じ取ったシヴァは、
愛する妻の恐れを鎮めるために、
額にある第3の目を静かに開き、
世界に光を取り戻しました(優しい♡)
あなたの旦那さまが、もし霊的修行者なら、背後から目隠ししてみると、第3の目が開くかもしれません。(いいえ、開きません。笑)
──── ✵ ────
またある日、
シヴァはパールヴァティに言います。
「この物質世界はすべてマーヤ(幻影)だよ。
食べ物だって、その一部にすぎないのさ」
食べ物を含め、世界のあらゆるものの現れであるパールヴァティーはその言葉に怒ります。
そして、
その尊さと重要性を示すために姿を消します。
すると……
パールヴァティのいなくなった世界からは、
食べ物の一切が消え、地上は荒廃してゆき、
人々も生き物も、みな飢え始めていきました。
それを神界から見ていたパールヴァティは、
心を痛め、飢える人々に食を与えるため、
アンナプルナとして、
カーシー(ヴァラナシ)に降り立ちます。
台所を整え、
食事を準備しはじめたそのとき──
真っ先にお椀を持って駆けつけたのは、
なんとシヴァ(しかも、お椀は頭蓋骨……!)
シヴァは、パールヴァティが姿を消してから
寂しくて、ずっと悶々としていました(可愛い♡)
ゆえに、誰よりも真っ先に、
パールヴァティの元へ駆けつけたのです。
シヴァは言います。
「物質世界をマーヤ(幻影)として扱ってはいけないと気づいたよ」(反省早い♡)
シヴァはパールヴァティに謝り、
パールヴァティは怒りを収め、食事を分け与えます。
こうしてパールヴァティは、
「アンナプルナ(食物に満たされた者)」として
崇められるようになりましたとさ。
この「食物」という言葉には、
多層的な意味が含まれています。
また、アンナプルナ女神とのご縁は、
Dharma Diningの場がひらかれる
きっかけとして働いています。
下記ブログ参照。
──── ✵ ────
そしてまた、ある日のこと。
シヴァとパールヴァティは、喧嘩をします。
……その理由はいつも、
「人間でもそんなことで喧嘩しないよね?」
というくらい、ほんとうに些細なこと。笑
そして、だいたいは、
シヴァが余計なことを言うことから
それは始まります……
仲違いした二柱はしばらく離れ離れに。
けれど、寂しくて寂しくてたまらない二人。
ついにシヴァが、耐えきれずに
「ごめんね」と謝り、仲直りします(素敵♡)
そしてまた、
イチャイチャと交わりはじめるふたり。
──その肉体の交わりは、
なんと250年ほど続いたそうで。
ついには、ブラフマーとヴィシュヌが
「さすがにそろそろ…」と止めに入ったほど。
──── ✵ ────
わたしが面白いと感じるのは、
こういうエピソードが、神話として、
インドの人々の間で語り継がれているということ。
これらの話を通して、
わたしたちは、一体全体、
何を見させられているのでしょうか。笑
神々の夫婦も、すれ違い、ぶつかりながら、
そのたびに、新しい理解と愛に出会っていく。
それも、神のスケールで。
250年て、なんなのでしょう。
──もう、本当に。
たまらなくも、愛すべき神々です。
本当はここに、
ドゥルガーやカーリーにガンガー、
ガネーシャの話も添えたかったけれど、
今宵はここまでにしておきます。
🌿 離れても、また出会いなおすために
七夕というこの夜に、
なぜ、この物語を綴りたくなったのか。
それはきっと──
天の川をはさんで年に一度、
ようやく巡り会う織姫と彦星の物語の奥に、
“たとえ離れ離れになっても、また出会い直す”
という祈りのカタチが、
わたしたちの記憶に
刻まれているからかもしれません。
ほんとうは離れたことがない、
というのはさておき、まずは、
実感を持っていることに正直でありましょう。

神々の物語は、遠い昔の話ではなく、
わたしたち自身の内に映し出されている、
関係性のカタチでもあります。
ぶつかることもある。
離れてしまうこともある。
でも、愛があるかぎり──
わたしたちは何度でも、
ふたたび出会いなおすことができる。
きっと神々は、そんな可能性を
見せてくれているのでしょう。
今夜の空に、祈りをひとつ。
──わたしたちの中にある、
出会いなおす力と、許し合う勇気に向けて。
これはまた、
次のブログに続きます。
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