昴|アクティベート1
2025/06/01
2025/06/06

何かを積み重ねて、
到達すべき場所がある。
けれど——
積み重ねるだけでは、
決して辿り着けない場所がある。
もしわたしが根ざすとしたら、
きっと、
積み重ねでは届かない、ハートの世界——
玄花の“花”は、そこでたゆたう。
🌿 スバルとプリシラが教えてくれたこと
わたしが愛してやまない漫画に、
「昴」と「MOON」という作品があります。
玄花のブログやメルマガを
読み込んでくださっている人には、
すでにお馴染みの名前かもしれません。
でもおそらく、この漫画を、
読んだことがない人の方が多いでしょう。
とりあえず覚えておいてほしいのは、
「スバル」と「プリシラ・ロバーツ」という
バレエダンサーが登場する物語だということ。
わたしの中には、
スバルとプリシラが、
今も、静かに息づいています。
🌿 待つというアート
プリシラ・ロバーツが、
“ボレロ”の公演を行うと決めたとき、
インタビュアーにこう問われます。
「この究極の一本を踊るために
必要だった準備とは......?」
テレビカメラを前に、彼女は答えます。
「準備?
準備...ね...。
そんなものは必要ないわ。
振り付けは7歳のころから覚えていたし。
今日まで練習すらしたことがない。
ボレロに準備はいらない。
ただ、許されるのを待つだけ。
ダンサーには二種類しかいない。
“ボレロ”を踊ることを許されたダンサーと、
そうでないダンサー。
わたしに言えるのは、それだけだわ。」
🌿 現実が開いていくとき
この漫画と出会ったのは、
ちょうどこの道を歩みはじめたばかりのころ。
“この道”とすら思っていなかったし、
いわゆる、丸腰。
スピリチュアルって言葉さえ、
よく知りませんでした。
何かのセミナーやクラスに通ったこともなく、
ただの、シングルマザーで、
ただの、ひとりの女性。
でも、あの日——
「そうする」と、決めた日。
自転車を漕ぎながら、
頬に当たる風が、
目に映る葉っぱが、
もう、すべてが、
それを歓迎してくれているように感じました。
嬉しくて、嬉しくて、
毛穴から手のひらから、
何かがゴゴーっと溢れてきて。
こっちの生き方からこっちの生き方へ——
という「間(ま)」で、
現実的には仕事をやめて無職だし、
「明日からの生活はどうするの?」
という状況なのに、
細胞のすべてが踊っていたのです。
なんというか、人生には、
「あ、その時がきた」
ということが、確かにある。
そうしたいとか、
そうなりたいとか、
そうありたいという意志すら超えて、
ふいにスイッチが入る。
そして、
パタパタパタ...と、
ドミノが倒れるように現実が開いていく。
起こるべくして起こるように。
それまでの人生のすべてが、
まるで、準備期間であったかのように。
🌿 ただ「愛したから」
“ボレロ”
ダンサーなら、
誰もがいつかは踊りたいと憧れる一本。
シンプルな振り付けだからこそ、
踊り手のすべてーー
プレゼンス、身体性、
解釈、在ることそのものが、
隠しようもなく顕になる。
それから数年。
2015年12月26日。
シルヴィ・ギエムのファイナル公演
「Life in Progress」
アリーナ席
前から10数列目。
あの日、わたしは、
ギエムの“ボレロ”を、確かに観た。
あの時間、あの空間、
あのダンスは、
今も、しっかりとわたしのすべてに焼きついている。
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当時、興奮のままに、
その体験をブログに綴ったので、
覚えている人もいるかもしれません。
その時に、ギエムが、
世界文化賞を受賞した時の言葉を引用しました。
バレエを始めてこれまで
私は何をしてきたか、問い直しました。
私は愛しただけ。
自分がしていることを愛しました。
している場所を愛して、
誰のためにしているか、その人を愛した。
ただ単に「愛したから」
という理由で賞をもらえた気がします。
愛することは、社会に貢献すること——
と、明言するギエム。
ただ、バレエを愛し続けただけ。
バレエを愛する自分を、愛し続けただけ。
そのまっすぐさに、
当時のわたしはうなづき、
自分を重ね合わせて見ていました。
けれど今は——
胸の奥に、かすかな痛みが走ります。
けれど、
平気なふりをせず、
その痛みと共にあろうと思うのです。
🌿 違和感という名の、扉
ふとしたとき、
今の自分に対して、
説明のできない違和感を
覚えることがあるかもしれません。
あるいは、
過去の自分と今の自分を比べて、
「今のわたしって、カッコわる...…」
そんなふうに、
愕然とする瞬間があるかもしれません。
それは、
見ないようにしてきた、
怖れの奥にある“弱さ”が露呈し、
やさしくほどけていく時に、起こる痛み。
そんな自分を罰せず、
その違和感や本音を見逃さず、
どうか、大事にしてほしいのです。
痛みも、不調和も、違和感も——
むしろ、すべてが、力強い味方です。
このタイミングで
この漫画を思い出したのも必然かな。
アクティベート2に続きます。
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